●目次
Dockerは、開発、デプロイ、実行を容易にするコンテナ技術です。
Dockerとは?
Docker(ドッカー)は、アプリケーションをコンテナと呼ばれる単位でパッケージ化し、移植性とスケーラビリティを向上させるためのオープンソースのプラットフォームです。開発者や運用者は、Dockerを利用すれば、アプリケーションとその依存関係を一つの軽量なコンテナにまとめ、どの環境でも一貫して動作させることができます。
コンテナ型仮想化技術とは?
コンテナ型仮想化技術は、ホストOSのカーネルを共有しながら、各アプリケーションを独立したコンテナ内で実行する技術です。
従来の仮想マシン(VM)と比較して、コンテナは以下の特徴を持ちます:
- 高い移植性:
コンテナイメージを使って、異なる環境間で容易にアプリケーションを移動・展開できる。 - 軽量性:
コンテナはホストOSのカーネルを共有するため、
VMのようにゲストOS全体を含む必要がなく、リソース消費が少ない。 - 高速起動:
コンテナは起動が非常に速く、数秒で立ち上げることが可能。
Dockerコンテナ(Container)
Dockerのコンテナは、仮想環境の一種ですが、仮想マシン(VM)とは異なり、ホストOSのカーネルを共有します。コンテナはアプリケーションとその必要な依存関係のみを含んでおり、効率的で軽量です。
- コンテナはアプリケーションを実行するための「箱」のようなもの。
- 仮想マシンと比較すると、コンテナはオーバーヘッドが少なく、起動も高速。
Dockerイメージ(Image)
コンテナを作成するための「設計図」がDockerイメージです。イメージはアプリケーションとその依存関係を含む静的なファイルシステムです。イメージから複数のコンテナを作成できます。
- イメージは不変であり、バージョン管理が可能。
- イメージはDocker Hubなどのリポジトリから取得したり、自分で作成したりします。
Dockerfile
Dockerイメージを作成するための設定ファイルです。
Dockerfileには、イメージを構築するためのコマンド
(ベースイメージ、アプリケーションのインストール、環境設定など)が記述されています。
- Dockerfile を使ってカスタムイメージを作成。
- コマンドを逐次実行し、イメージのレイヤーとして構築。
Docker Hub
Dockerイメージのオンラインリポジトリです。
Dockerユーザーは、公式やカスタムのイメージをDocker Hubからダウンロードしたり、
独自のイメージをプッシュして共有することができます。
- Docker Hubは、GitHubのように公開・共有できる場所。
- 公式イメージ(例:Ubuntu、MySQLなど)は信頼性のあるベースイメージとして利用できます。
Dockerエンジン(Docker Engine)
Dockerの中核部分で、コンテナの作成、管理、実行を行うソフトウェアです。
Dockerエンジンは、クライアントとデーモンの2つの部分で構成されています。
Dockerデーモン
バックグラウンドで実行され、コンテナの作成、実行、停止などを管理。
Dockerクライアント
コマンドラインからDockerデーモンに指示を送るインターフェース。
ボリューム(Volume)
コンテナ内で生成されるデータを永続化するための機能です。コンテナは一時的なものなので、データの永続化にはボリュームが必要です。ボリュームを使用することで、コンテナを停止してもデータが保持されます。
ネットワーク(Network):
Dockerコンテナ同士、あるいはコンテナと外部との通信を可能にする仕組みです。
Dockerにはさまざまなネットワークモードがあり、
コンテナを同じネットワーク内で通信させたり、外部に公開したりできます。
- Bridgeネットワーク:デフォルトでコンテナ間の通信に使われる仮想ネットワーク。
- Hostネットワーク:ホストのネットワークとコンテナを直接接続するモード。
- Overlayネットワーク:複数のホストにまたがるネットワークを作成。
Dockerのワークフロー
イメージの取得または作成
Docker Hubからイメージをダウンロードするか、Dockerfileを使って独自のイメージを作成します。
docker pull nginx # Docker Hubからnginxイメージを取得
コンテナの作成と実行
ダウンロードしたイメージを元にコンテナを作成し、実行します。
docker run -d -p 8080:80 nginx # nginxコンテナをバックグラウンドで実行し、ポート8080を公開
コンテナの管理
実行中のコンテナを確認し、必要に応じて停止や削除ができます。
docker container ls # 実行中のコンテナを一覧表示
docker container stop <container- > # コンテナを停止
docker container rm <container- > # コンテナを削除
コンテナの永続化
コンテナのデータを永続化するためにボリュームを作成し、コンテナにマウントします。
docker run -d -v /mydata:/data nginx # ホストの/mydataディレクトリをコンテナ内の/dataにマウント
イメージの共有
作成したイメージをDocker Hubにプッシュして、他のユーザーと共有することができます。
docker push myrepository/myimage:tag # Docker Hubにイメージをプッシュ
Dockerのメリット
- 軽量で高速:
仮想マシンよりも起動が速く、システムリソースの消費も少ない。 - 一貫性のある環境:
開発、テスト、本番の環境で同じイメージを使用できるため、一貫した動作を保証。 - 依存関係の管理が簡単:
アプリケーションとその依存ライブラリを1つのコンテナ内にパッケージ化でき、
依存関係の問題を解消。 - 移植性:
Dockerイメージを使うことで、
異なるOSやハードウェア環境で同じようにアプリケーションを実行できる。
まとめ
Dockerは、アプリケーションとその依存関係をコンテナとしてパッケージ化し、どこでも同じ環境で実行できるツールです。コンテナは仮想マシンに比べて軽量で、効率的にリソースを利用できる点が特徴です。Dockerを使うことで、環境の違いによる問題を解消し、一貫性のある開発・運用を行うことができます。